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口頭試問に向けた対策とは?答え方のコツや出題傾向、例題

2023.11.02

大学入試でも近年は一般選抜ではなく、推薦入試を選ぶ受験生が増えています。大学の推薦入試では、評定平均をはじめとする書類審査や小論文、面接などが中心ですが、口頭試問が行われるケースもあります。特に学校推薦型選抜と総合型選抜(旧AO入試)では口頭試問が行われることが多く、その内容は大学や学部・学科によって違うので、リサーチのうえで対策が必要です。

今回は、口頭試問でどのような内容が質問されるのか具体的に例を示し、大学側がどのような能力を見極めようとしているかを解説します。また、自信を持って口頭試問に挑むための準備の方法や、模擬口頭試問の方法を説明しているので、口頭試問が課されている大学を受験する方はぜひ参考にしてください。

◆本記事の目次

「口頭試問」とはどのような試験?

大学入試の推薦入試で課される「口頭試問」では、通常の面接とは異なる準備が必要となります。口頭試問とはどのようなものなのか、面接とはどう違うのか、質問例としてはどのような内容があるのか、解説します。

●口頭試問とは

口頭試問とは、受験生が面接官の質問に対話形式で回答する試験のことを指します。正解を答えるというものではなく、志望する学部・学科についての知識はもちろん、回答を導き出し、相手に伝える論理的思考力やプレゼンテーション能力が評価されます。回答がどんなものかというよりも、その回答に至る過程がより重視される場合が多いです。

口頭試験が課されるのは、主に学校長の推薦が必要な学校推薦型選抜と、専攻基準として高い学習意欲や学習への目的意識が求められる総合型選抜(旧AO入試)です。口頭試問によって自らの学部・学科への適性をしっかりアピールすることが大切です。

●「面接」と「口頭試問」の違い

面接と口頭試問では、質問の内容や評価の基準が異なります。

面接で学生に問われるのは、志望動機や自己PRで、試験官は学生の学ぶ姿勢や人物像を確認し、選考の参考にします。一方、口頭試問については、質問の中に時事問題や一般常識問題が含まれており、学習意欲だけではなく、学生の知識や学力、論理的思考力なども評価されます。

●口頭試問の主な出題方法

口頭試問の出題方法は大学によって異なり、以下のように複数あります。

・ディスカッション形式
面接官とディスカッション形式で対話します。スムーズに受け答えができる、コミュニケーション能力も問われます。

・その場で渡された設問を解く
口頭試問では、望学部や学科に関する基礎的な内容を問われることがあります。専門分野に関する専門書や論文に目を通しておくことが望ましいですが、難しい場合は、新書を読んでおくことがおすすめです。

・時事問題について、自分の意見を交えて説明する
時事問題の説明や、それに対する自分の意見を述べることが求められます。最近の事件や社会問題に関する知識だけではなく、それについての関心や疑問、自分の考えなどを言葉で表現する能力が必要です。日頃の自分の経験と紐づけて説明できるとさらにアピールになります。

・ホワイドボードで数学や理科などの問題を解き、解説する
筆記試験同様、教科の知識が必要で、時間内に解答し、落ち着いて解説まで行わなくてはいけません。このパターンの口頭試問は、数学や理科など理系の問題が出題されることが多いです。


口頭試問の主な評価ポイント

口頭試問において、評価される能力は以下の通りです。
・知識と理解度
・論理的思考と分析力
・表現力と語彙力
・質問への対応力

ひとつひとつ解説します。

●知識と理解度

大学入学のために必要な基礎知識を把握し、理解しているかが口頭試問によって評価されます。ペーパーテストとは異なり、その場で相手が理解できるように伝える必要があるので、知識を暗記しているだけでは不十分と言えます。一般教養だけではなく、志望する学部や学科に関連する質問がされることも多いです。

●論理的思考と分析力

口頭試問では、解答を導く過程や論証の正確さなど、論理的思考力が重視されます。事前準備として、日頃から与えられた課題を論理的に考え、客観的に内容を分析する能力を磨いておくとよいでしょう。

●表現力と語彙力

せっかく論理的に考え、正しい解答にたどり着いても、それを相手に最適な表現でわかりやすく伝えられなければ、口頭試問では評価がされづらいです。明確に自分の考えを相手に伝える、語彙力や表現力が必要です。

●質問への対応力

受験生の解答やプレゼンテーションに対して、面接官がさらにコメントや質問をしてくることがあります。その際、できる限り柔軟に受け答えをすることも大切です。質問の意図を正しく理解する能力に加えて、臨機応変に新たな情報を追加して、回答する能力を問われるケースもあります。

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口頭試問の出題傾向

本番の口頭試問では、実際にどのような質問がされるのでしょうか。質問例をご紹介します。

●志望学部・学科関連の問題

・志望学部・学科への理解度を問う質問
志望している学部・学科について、どの程度理解しているかを評価する意味で、質問されます。その学部・学科で学ぶことへの意欲や適性があるかも問われます。基礎知識も必要となるので、事前に学部・学科について調べておきましょう。

質問例
(教育学部)
これからの子どもたちにはどのような能力が必要と考えますか?

この場合、現状の課題も踏まえて自分自身はどのような展望を持っているか答えられるとよいでしょう。

●時事・一般教養問題

多くの大学・学部で出題されるのが時事・一般教養に関する質問です。自分の知識を簡潔に説明する力だけではなく、自分の考えを言語化し、相手に明確に伝える力が大切です。その際は、ただの感想になってしまわないように、自分の視点や論点の根拠がどのようなものか相手にわかるように意識しましょう。

また、付け焼き刃で思いつきを話すのはおすすめしません。面接官からの反論や質疑応答に対応できなくなる可能性があるからです。

質問例
(学部問わず)
最近、どのようなニュースが気になりますか?

ニュースの内容が特に指定されていない場合は、志望する学部・学科に関係するものを選ぶと大きなアピールになります。

●英語の翻訳問題

英語の翻訳を行う口頭問試問、英語に関する学部ではなくても出題される場合があります。英語を日本語に訳すだけではなく、日本語を英語に訳す問題もあります。

評価のポイントとなるのは、伝わりやすい翻訳をすることや、文法や語彙の知識、文脈やニュアンスをしっかり理解しているかです。翻訳するだけではなく、音読せよという指示があることもあり、面接官に訳した内容を説明することもあります。

英語に関する学部や学科の場合、面接がすべて英語の場合もあるので、専門用語を英語で言えるように準備が必要なケースもあります。

●数学・理科に関する問題

数学や理科に関する問題は、主に理系の学部で出されます。一般的なのは、基本的な数学の問題をその場で出題し、ホワイドボードなどを使って説明をさせながら解かせるといった形です。数学だけではなく、同時に物理や化学や英語の知識を必要とする問題が出されることもあります。

正しい解答であるだけではなく、解き方や考え方が適切か、公式や定理を論理的に説明する能力も重視されます。将来の研究を見据えて実験方法やデータ分析に関する質問がされることもあります。

●国語・社会に関する問題

国語や社会については、幅広い質問がされる可能性があります。著名な文学作品についての質問など文学史に関する知識を問う問題、漢字や四字熟語など語彙に関する基礎知識も必要です。社会に関しては、歴史的な出来事について説明する問題が出題されることがあります。

質問例
あなたの好きな歴史上の人物について教えてください。

その人物の功績や生きた社会背景、その人物が後世に与えた影響についてわかりやすく説明しましょう。


口頭試問で好印象を得られる答え方のコツ

口頭試問では論理的に説明できるというだけではなく、「この学生に入学してもらいたい」と思ってもらえるように、面接官から好印象を得られることも試験突破のカギになります。好印象を得るためのポイントをご紹介します。

●自分の言葉で伝える

面接官は口頭試問を通じて、学生の知識だけではなく、人物像や意欲、学びに対する姿勢を評価しています。そのため、どこかで掲載されている解答例を丸暗記したように感じられる答え方では良いアピールになりません。また、使い慣れない難しい言葉や専門用語を無理して多用せず、わかりやすい言葉で話すように工夫しましょう。

●結論から述べる

質問に対して論理的に答えることは大切ですが、回りくどい言い回しや、話が長すぎてしまうことは避けるようにしましょう。できるだけ内容を簡潔にして、相手にストレスを与えずに上手に伝えることが大切です。まず結論から話して、その後で理由を説明する形にすると自分も話しやすく、相手に伝わりやすくなります。

●聞き取りやすい声で話す

一生懸命話していても相手が聞き取れないのでは台無しになってしまいます。面接官は受験生の言葉に耳を傾けていますので、リラックスして丁寧な言葉で早口にならないように意識しながら話しましょう。人それぞれ声の高さは違いますが、普段よりも低めのトーンで大きな声で話します。語尾が消えてしまわないように、はっきりと話すと説得力が増します。

●わからないことは正直に答える

質問内容が聞き取れなかったり、理解できなかったりした場合は、聞き直してもかまいません。慌てずに「聞き取れませんでした。申し訳ありませんが、もう一度お願いします」と伝えて、質問内容を正しく理解してから回答しましょう。

どのように回答したらいいのかわからない場合もあるかもしれません。その場合は、答えられる範囲で回答することが大切ですが、知らないことを適当に話すと間違ったことを言ってしまう可能性があります。また、知ったかぶることは、マイナスの印象をもたれてしまうこともあります。そうした場合は、わからない理由を正直に伝えましょう。


口頭試問に向けた対策法

口頭試問には大学や学部ごとにさまざまな形式があり、準備をせずに対応することは難しいです。また、先述の通り面接とも異なるので、模擬面接の練習とは違う、口頭試問に向けた対策法を紹介します。

●志望大学の出題傾向をリサーチする

口頭試問の出題傾向は大学や学部・学科ごとで異なるため、どのような内容が出題されるのかリサーチすることが大切です。過去問が公開されている大学もあるため、志望校のものではなくても参考にするとよいでしょう。塾や学校の先生に出題傾向を尋ねておくのもおすすめです。

●志望学部・学科の基礎知識を伸ばす

口頭試問では志望する学部・学科に関連した知識を問う問題が出題されやすいです。教科書の内容をただ丸暗記するだけではなく、内容をしっかり理解するようにしましょう。口頭試問では自分の意見を伝える必要があるので、その点を意識して論理的に語れるまでに内容を把握していることが大切です。

●新聞やニュースサイトを毎日チェックする

一般教養や時事問題に関する問題は、口頭試問でよく出題されます。自分の考えを述べるために、新聞やニュースサイトのチェックを習慣にしましょう。また、最新の情報を収集するだけではなく、自分がそれについてどう思うか、意見を述べられるように、気になったことはメモをしておくのもよいでしょう。時事問題については、自分が志望する専門分野との関連性についても考えておくと、本番の際にアピールポイントになりやすいです。

●志望校に提出する書類はコピーを取る

提出された書類を参考に口頭試問が行われることもあります。特に志望理由書には、志望動機や得意分野、将来の目標など、大学側が知りたいことが記載されているため、これらについてより詳しく話すように求められることが多いです。自分が書いた内容がわからないということがないように、書類はコピーしておき、そこに書かれている内容からどのような質問がされるか想定して、回答できるようにしておきましょう。

●気持ちの良い挨拶を心がける

口頭試問では受験生の回答内容だけではなく、回答する際の態度や目上の人に対する礼儀や基本的なマナーも評価されます。まずは気持ちの良い挨拶を心がけ、身だしなみを整えて挑みましょう。正しい敬語を使えることも大切なので、緊張していてもきれいな言葉使いができるように日頃から意識しておくとよいでしょう。

●模擬口頭試問の練習をする

人前でのプレゼンテーションは緊張するものです。本番で上手にプレゼンテーションをするには、何度も練習して慣れておく必要があります。リサーチした内容に合わせて模擬口頭試問をしておきましょう。

友だちや家族などに面接官役をしてもらい、複数回、模擬口頭試問を行います。ただ模擬口頭試問をするだけではなく、話す内容はもちろん、口調や表情、姿勢や動作など気になることがあれば指摘してもらい、より好印象を得られるように改善しましょう。指摘してもらうだけではなく、模擬口頭試問の様子を録画しておいて自分で改善点を見つけるようにするのもおすすめです。

可能なら塾や学校の先生に模擬口頭試問をしてもらいましょう。そうすれば、より専門的なアドバイスがもらえますし、より完成度を上げれば、自信を持って本番に挑めます。


口頭試問対策は十分なリサーチと準備が大切

口頭試問は、志望動機を伝えたり自己PRを行ったりする面接とは異なります。知識だけではなく、しっかりと質問を理解し、それに対して論理的に説明する力も問われます。また、学部・学科に関する質問、時事問題や一般教養に関する質問、英訳の問題、数学や理科に関する質問など、内容がさまざまなため、事前にどのような内容が問われるのかリサーチして、それに合わせた対策をしておく必要があります。

プレゼンテーションをしたり、ディスカッションをしたり、その場で問題を解いて解説したり、自分にできるだろうかと不安になる受験生もいるでしょう。その場で緊張しすぎないで挑み、実力を発揮するためにも、大学入試での口頭試問について豊富な知識のあるプロによるサポートがあると心強いです。

京進の個別指導 スクール・ワン」では、ひとりひとりの目標に向かって最適な学習方法をサポートしており、きめ細かい進路指導も行います。さまざまな受験様式に対応してカリキュラムも作成しますので、口頭試問を含めた推薦入試対策もお任せください。最も遅い授業開始時間は20時なので、部活や集合塾などと両立したいケースでも対応可能です。

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