2016年10月

“がんばれ”に代わる言葉

“がんばろう!”や“がんばりましょう!”は、士気を高め、励ます言葉として定着し、あらゆる場面で使われます。ですが、がんばっても思い通りにならなくて、苦しんでいるときや辛い思いをしている人に、「がんばれ!」という言葉を使うのは、「本当に適しているのだろうか?」「余りにも安易な言葉ではないだろうか?」と常日頃から考えています。

京進小中部の千種校で開設した新クラスで、私がある生徒を担当していた頃の話です。伸び悩んでいることを心配した母親と三者面談をしました。母親が、「この子のがんばりが足りないのです。先生からもがんばるように言ってください。」というような内容の言葉を繰り返したとき、その生徒が、「僕はがんばってる!」「がんばってるけど点数が伸びないんだ!」と彼は目に涙をためて、絞り出すような声で叫びました。母親は、子どもの思わぬ逆襲に驚き、何も言えなくなり、静寂の時間が暫く続きました。                  最後に私の方から、「よくがんばってるな!確かにがんばってる!」と認め、「もしかしたら、がんばり方が違うのかもしれないな。」と言って、家での勉強の仕方や勉強している内容を聞き取り、違うやり方を示唆したものです。結果的に、彼は、第一志望校に合格していきました。

“がんばれ!”は、確かに励ましや叱咤激励の言葉かもしれませんが、こういう局面ではふさわしくないのではないかと考えるのです。そこで、それに代わる最適な言葉がないか、社員にも呼び掛けました。

京進では、“褒める指導”で、生徒の長所を伸ばす方針で取り組んでいます。しかし時には、精一杯がんばっても思い通りにならず、苦しみ、辛い思いをしている生徒にも出会います。そんな生徒には、「こんな言葉で接しています!」というようなことが発信でき、“京進の文化”となればいいな、と考える次第です。全社員一丸となり、生徒の心に響く温かい言葉を探し続けて実践し、生徒の夢実現を応援してまいります。

代表取締役社長 白川 寛治

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